2023
02.20

日本の生産性


日本は生産性が低いと言われ続けています。事実を確認しましょう。

日本の就業者一人当たり労働性生産性水準は、81,510ドル≒818万円であり、OECD加盟38国中29位(2021)です。

時間あたり労働生産性(就業1時間あたりの付加価値)は、日本は49.9ドル5006円(米国85ドル)であり、だいたい東欧バルト諸国などと同水準となります。

生産性を語る時、その対象はモノに限らずサービスなども対象となります。以前より日本のサービス業における生産性水準の低さが指摘されていました。

う~ん。たしかに中小企業の多いサービス業の生産性は低いようです。(参照:滝沢美帆)

 

では、強いとされている(た)日本の製造業の場合はどうでしょう?

労働生産性水準は2000年に1位。2005年に9位、2015年に17位、2020年18位と、この20年間で1位からどんどん順位が落ちています。

日本の製造業の労働性水準は就業者一人当たり92,993ドル 米国の6割程度 フランスや韓国とほぼ同水準(2020)です。近年は、化学、一次金属・金属製品、輸送用機械、機械・電機・情報通信機器製造業において米国との差は拡大しています。(前掲 滝澤図1と図2との比較)「がんばっているのになあ・・・」この一言に尽きます。

 

もちろん原因は様々あるでしょう。現在、国をあげて生産性を高めるためにITを活用したDXなどを推進しています。では、IT投資はどの程度生産性の向上に寄与するのでしょうか?

コロナの影響を考慮すべきと思いますが、日本生産性本部の調査報告(2020年6月)がありました。

調査要約には、

・IT 利活用や人材育成などが生産性と明瞭な関係を持たない背景には、IT 化に対応した業務プロセスの見直しや人事評価の変更など、組織全体で実施する必要のある取り組みが IT 投資と必ずしも連動していないという問題が存在すると考えられる。・足元では新型コロナウイルス感染症の拡大により在宅勤務が急増しているが、今回の調査時点で在宅勤務を導入している企業は 2 割に留まり、IT を利用して生産性向上を実現する効果は見られない。

とあります。

生産性レポートVol.14
日本のIT投資は生産性向上に寄与しているのか? ~「生産性向上につながるITと人材に関する調査」から見えてくるもの~(PDF:1.64MB)

宮川努(学習院大学経済学部教授)、滝澤美帆(学習院大学経済学部教授)、宮川大介(一橋大学大学院経営管理研究科准教授)

 

生産性向上は簡単にはできない、という厳しい現実がレポートされています。私たちはどうすればよいのでしょう?

2023年2月17日付の日本経済新聞の岡崎哲二の記事には「イノベーション起こすには賃金上昇・安価な新技術がカギ」とありました。経済史上、安価な新技術の例として家内工業中心であった織物業の「力織機(動力)」、農地解放後における自作農の「耕運機(低価格・高性能)」などが挙げられている。それぞれの新技術による生産性を向上させた時期には、同時に賃金上昇が引き金となっているとのことです。生産性向上と賃金上昇には関係があるとのことです。

 

組織

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