02.24
日本の「ルイスの転換点」近づく?
かつて中国でよく議論されていた「ルイスの転換点」。
日本は既に「ルイスの転換点」は戦後に迎えたと言われていたはずだが、今、再び「ルイスの転換点」が訪れているというのだ。
日本経済新聞朝刊2023.2.23付の経済教室 権丈英子「賃上げどこまで可能か 労働の質向上へ政労使協調」によれば、
1995-2022年で、日本の60歳未満の就業者数は全体で2割(1284万人)減少した。同じ期間に60歳以上と女性を中心に就業者総数は226万人増やすことで補うことができた。しかし今後は、60歳以上や女性の就業率向上による労働供給の大幅な増加は期待できない。このような「労働力希少社会」を迎えるなかで主に非正規雇用による高齢者、女性の雇用の質を高め、潜在的な能力を十分に発揮できる環境づくりが政策課題になる。と述べている。
さらに、今まで日本は無制限労働供給に近い「比較的安価な労働力を手軽に利用できる時代」が長く続いたが、そろそろ「ルイスの転換点」を迎える近い状況になっているというのだ。非正規労働市場が正規労働市場の供給源となっていたことが背景にある。は
となると、賃金上昇の前提となる生産性を向上するための考え方の一つである「付加価値生産性は仕事の内容そのものが決める」ということからすれば、本人の能力を十分に発揮できる環境の整備が必要になる。その場合、<正規雇用はもちろんこと高年齢者や女性の待遇改善やニーズに応じた対応>を緩めず進めると同時に<生産性の高い仕事経営者が創ること>が必要だ、と権丈は述べている。
さて、後者の視点はどの程度実現できているのだろうか?
<上記以外の参照すべき論文>
尾崎達哉/玄田有史「賃金上昇が抑制されるメカニズム」『金融研究』2020.10
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。